ワインの味わい構造「甘辛とボディ、香りの用語」

 

ワインの甘辛バランス5段階
甘辛は、ワインの第一印象を決める味の方向性

なぜ知っておくといいの?

  • ペアリングの精度が上がる。料理に合わせてワインの甘辛度を調整できる。
  • 好みを見つけやすくなる。自分の味覚に合うワインを選びやすくなる。
  • ワインの奥行きが見えるようになる。
    単なるおいしいから、なぜ美味しいかへ思考が深まる。
  • 言語化できると共有や記録がしやすい。

    店員さんや友人と「自分に合う味」を伝えやすくなる

 

比較

甘さの状態簡単にいうと?特徴例えるなら

甘口(Sweet)
残糖が高い

はっきり甘い糖分が多く、デザート向きスイーツのような優しさ
やや甘口(Off-Dry)
やさしい甘さ控えめな甘み、フルーティーな印象甘さ控えめのラブレター
中口(Medium)甘くも辛くもない甘辛バランスが中庸、どんな料理にも合う調和のとれた中立的な人
やや辛口(Semi-dry)すっきり+ほんのり甘さ基本は辛口、わずかに柔らかさも残る。軽やかな魚料理や、やさしい塩味の前菜と好相性サバサバした中にやさしさ
辛口(Dry)甘さゼロのシャープさ糖分ほぼゼロ。料理を引き立てる食中酒系。脂っこい料理や塩味のきいた料理に最適キレのあるサバサバ系の人

 

 

ボディ(重さ・濃さ・厚み)の違い
口に入れてどう感じるかの指標

なぜ知っておくといいの?

  • 飲み疲れしないワインが選べる(軽め/重めで調整できる)
  • 料理との相性が格段に良くなる(軽い料理×ライト、濃い料理×フル
  • 場面・時間帯・季節に応じたワイン選びができる
  • 言語化できると共有や記録がしやすい

ボディ感を決める要素

  • アルコール度数  :高いほど「厚み・温かさ」を感じる
  • タンンニン(渋み):強いほど「舌に残る厚みや重さ」を感じやすくなる
  • 濃縮度(果実味) :熟した果実の味わいが強いと、ボディ感が「詰まっている」印象になる
  • 熟成(樽・瓶内) :長期熟成により香りやコクが深くなり、フルボディ寄りに感じられる
  • 酸味       :軽快さを演出。酸が高いとボディは軽く、フレッシュに感じられることが多い

比較

状態感覚的な重さ特徴シーン例
ライトボディ軽やかで水のよう渋み・アルコール感が少なく、さらっと飲める。果実味が中心で爽快。暑い日、昼の食事、軽い前菜
ややライト軽いけど少し芯があるフルーティーで飲みやすいが、少し余韻や厚みもある。初心者にも人気。ランチやカジュアルな集まり
ミディアム中くらいの重さ渋み・酸味・果実味のバランスがよく万能型。タンニンと酸が調和、程よいアルコール感和食・洋食問わず、バランス重視の場面
ややフル重めでコクがある飲みごたえがあり、余韻も長め。スパイスや熟成香が出てくる。夜の語らい、肉料理に合わせたいとき
フルボディ濃厚・重厚高アルコール・渋み・香りも強い。タンニンと果実味が豊かで骨格がしっかり。余韻が長く力強い印象。重厚な肉料理、特別なディナー、余韻を楽しむ時間

香りのカテゴリ

ワインの香りは、「ただの匂い」ではなく、産地、品種、時間、造り手、気候、文化、飲む人の記憶など、
多層的な物語を一瞬で立ち上げてくれるメッセージ媒体。

どうしてかおるの?

  • ワインの発酵では、酵母がブドウの糖をアルコールに変える際、副産物として「エステル類・高級アルコール類」などを生成。
  • これらが、リンゴ、バナナ、パイナップルなどの果物に似た香り分子と同じ構造をしている。
  • 造り手が「どういう酵母を使うか」で、香りのスタイルが大きく変わる。
  • 発酵香は、造り手の選択=表現の領域。ワインを“モダン”に仕上げたいか、“素朴”にしたいか、香りで印象を作れる
フルーツ系りんご、洋梨、柑橘、桃、チェリー、ベリー、干しぶどうなど▪️ブドウ品種や熟度の表現(例:カベルネ=カシス)
▪️収穫年の気候条件(冷夏=酸高め、柑橘系多め)
花・植物系バラ、スミレ、白い花、干し草、ハーブ、ミント▪️品種の香り成分(テルペン系)
▪️繊細さ・上品さの演出(特に白ワインやロゼに多い)
スパイス・樽系バニラ、シナモン、クローブ、スモーク、コーヒー▪️樽熟成の痕跡(オーク樽の影響)
▪️高級感・深み・複雑性の演出
土・熟成系きのこ、革、湿った土、葉巻、鉛筆、ト▪️長期熟成の証
▪️大地や時間とのつながりの表現(テロワールや熟成の厚み)
その他ハチミツ、乳製品、石、潮、火打ち石▪️地質・土壌の反映(例:石灰岩土壌=火打石香)
▪️涼しい地域や標高の高さ=ミネラル感を伝える暗号

香りは「グラスを回す前(静香)」と「回した後(動香)」で変化する。

収穫年の熟度の違い

  • 同じ品種でも、気温や日照量によって果実の香りの種類が変わる
    「この年らしさ」を香りから感じ取れることが、楽しみの一部。
  • 冷涼年:柑橘系や青リンゴのような“シャープ”な香り
  • 温暖年:黄桃、パイナップル、マンゴーのような“熟した”香り

香りから逆引き※いか、検索情報

  • バニラやトーストの香り → オーク樽で熟成された可能性(白:シャルドネ、赤:カベルネ)
  • 青リンゴや柑橘の香り → 冷涼な産地、酸が強め、若いワインかも(ソーヴィニヨン・ブランなど)
  • ベリー+スミレ+土の香り → ピノ・ノワール、やや熟成、ブルゴーニュ産か?
  • 火打石、塩っぽい香り → 石灰質土壌、シャブリやサンセールのような冷涼系テロワール